備前焼などの器は水が腐りにくいのか!?

台所の水甕

備前焼などの焼き締めの器は水が腐りにくい。などとよく言われますが、本当にそうなのでしょうか。実際に実証実験をやってみることにしました。それに先だって書籍やWEB情報などで得た焼き締めの特性を記載していますので、よければあわせてご覧ください。

焼き締めの器って何?

焼き締めは備前にかぎらず、越前焼や丹波焼、朝ドラで話題の信楽焼きなどでもあり、釉薬を使用せずに焼いたものを「焼き締め」と称しています。

炻器(せっき)のひとつとして分類されています。学校では歴史の時間に「須恵器」という名称で勉強したのがそのルーツのようです。

ひらたくいえば縄文(式)土器みたいなもんかな(ちがうって怒られそう)

釉薬を用いずに焼成(窯焚き)をおこないます。その際に用いた松の木(薪)などの灰が降りかかって「窯変」とよばれる模様がついたりします。ちょっと通な人なら「景色」などとおしゃれな言い方もしてますね。

職人さんたちが気を配るのが炎の通り道なんですが、ちょうどいい場所に置かれていた作品には炎が通ったあとが残って、いわゆる「緋色」が付きます(酸化焼成に多い)。今TVで話題の「スカーレット」ってやつですよね。

焼き締めとはいえ、焚口付近にはかなり灰が降りかかってしまうので、溶けてガラス化して、釉薬を掛けたような作品になるものもあります。見た感じは焼き締めには思えようなものもあるのですが、ひとつの窯からごく少数しか取れないものなので、希少価値があり、「灰被り」といって慈しむ人も多いです。
お値段もそこそこ。

窯場

焼き締めの器は通気性に富んでいる!?

さて本題の焼き締めの器は水が腐りにくいのかというテーマですが、釉薬がかかっていないので、水や飲み物がじかに土肌に触れるわけです。素地(「きじ」ともよぶ)微細な気孔があり、通気性もあるといわれています。

水甕(みずがめ)ってご存知でしょうか。飲料水などを溜めておくものですが、ペットボトルなんかなかった時代には台所や土間には欠かせない生活用品でした。「備前水瓶水が腐らぬ」などといってばあちゃんらはかなり珍重してたものです。

科学的な根拠は不明ですが(研究している人もいるらしいけど)昔の人が実体験を元に、行き着いた「生活の知恵」ですから、ある程度の効果は見込めるということでしょう。

水甕

実は水自体は腐るものではありません。
水の中の微生物の影響で濁ってきたり、腐った臭いを発したりしています。密閉された容器の中の水は1年ぐらいもちますからね。保存技術のなかった時代には貴重な水が長持ちする甕は貴重なアイテムだったことがうかがえます。

岡山理科大の研究で遠赤効果も認められていますね。そのせいか「備前玉」と称した製品が店舗やお土産屋さんで販売されています。

ご飯を焚く時に入れるとか、備前玉を入れておいた水でコーヒーを作ると美味しくなるといわれています。お風呂に入れるとより温まるなんて商品もあるようですが、いくつ入れないといけないんでしょうか^^:

私事ですが作った焼き締めの作品をお譲りした人が、WEB情報を元に水を入れて寝かせたものを食事の際に飲むということを検証してくれたのですが、かなり美味しくなったと喜んでくれて、それから毎日のルーティンにされたというケースもあります。

POINT

すでに熟成されている日本酒の場合、一晩冷蔵庫で(焼き締めの器に入れて)冷やすと味が落ちるといったことがあるそうです。ご注意ください。

「コーヒーが美味しくなるか」もいずれ検証してご報告したいと思います。

壺

ビールが美味しくなる備前焼

これはけっこう有名な話ですよね。私自身も試したことがあります。
グラスにビールを注いだ場合と比べると泡立ちと、泡のもちが違います。

素地に凹凸があるため、きっとキメ細やかな泡になっているのでしょう。泡があるとクリーミーさがあるので飲み心地がよくて、苦味も感じず、ホップの風味を楽しめます。

「美味しく感じれた」というのはごく単純な仕組みだったと推測されます。

ビールマイスターという資格(?)がありますが、サーバーの洗浄や管理のほかに、ビールを注ぐ際に泡の比率とキメ細やかさを求められるとか。マイスターが注いだビールは一般人が注いだものより泡のもちがぜんぜん違ってまろやかで美味しいんですって。

ビールのほかにお酒が美味しくなるともいわれてますね。なんでも通気性があるおかげで、お酒の酵母菌の働き活発になり熟成されるのだとか。

お酒やビールなら30分ほど、ワインや焼酎でも5分程度、まろやかさとこくを出すためには、最低でもその時間浸しておかなければいけないようです。

ということは、焼き締めの器に注いだばっかりの日本酒を飲んで「美味しくなった」と言っているのは… 錯覚ということですね。

実際に検証してみた

備前焼に花を生けていると「花が長持ちする」といわれますが、簡単な検証でできるのでさっそくやってみました。

ガラスの花瓶と備前焼の花器を用います。それぞれに同時期に買った花を生けて数日~10日間ほど様子を見るというごく簡単明瞭な方法です。

「水が腐らないか」というのをより立証するためには水を替えないほうがはっきりするのですが、花がかわいそうなので2~3日で水は替えてやることにしました。(実験にならないかな)

実験1

実験1-1

一週間後↓

実験1-2

さらに5日後↓

実験1-3

期待に外れて備前の花瓶のほうが枯れてしまいました。
灰釉が結構かかっているせいかもしれません。また容器の大きさで水の量の影響もあるのかもしれません。

実験2

実験2-0-1

花器の形状を近いものに変更して再実験。今回は灰被りのない備前の花器を用います。(写真は買って来てから5日目)

さらに3日後↓

実験2-0-2

どちらも同じように枯れてしまいました。ガラスのほうが若干花が元気なような気がします。

実験2-2

今度は透過性のない花器を使用しました。また口(口縁)の大きさも大体同じぐらいのものを用いて実験してみます。水の量も毎回同じ程度の分量に気を配ることにしてみました。

実験2-1

約10日後↓

実験2-2

結果は前回以上にあきらかで、水が長持ちするといわれている備前のほうが奇しくも早々に枯れることになりました。

実験3

実験3-1

通気性の問題かと思われたので、ペットボトルを使用してみることにしました。光をさえぎるためにガムテープを巻き付けています。

約一週間後↓

実験3-2

ご覧の通り、ペットボトルのほうがぜんぜん長持ちしています。保存に適しているためか、今ほとんど水はペットボトルで販売されていますからね。

まとめ

今回は惨憺たる結果となりました。

陶器の通気性と花が長持ちすることには因果関係は見受けられないような気がしますが、あなたはいかが思われましたでしょうか。備前の水は腐りにくいということも残念ながら今回は実証するにはいたりませんでした。次回の実験では、もうひとつの備前焼を用いて実験をしようと考えています。

焼成の仕方には大きく分けて2通りあり、酸化焼成と還元焼成があります。酸化焼成と違い、還元焼成はかなり焼き締まる傾向にあります。(使用した備前の花器はいずれも還元焼成です。)

酸化焼成で焼かれた備前焼が火襷(ひだすき)と呼ばれているもので、しろっぽく焼き上がり、巻き付けた藁(わら)によってその部分が赤や朱色のたすき模様が特徴です。

焼成時の収縮率も還元焼成に比べれば大きくはありません。次回の実験結果もぜひご覧ください。ではまた

 

 

陶芸で上達するには何を作ればいいのか(初級)

お茶碗

習い事(お稽古)として陶芸教室や陶芸スクールに通う人に、「何を作れば(練習すれば)うまくなるのか」といった質問をよく聞かれます。

ひとそれぞれ得手不得手がありますから一概にはお答えできませんが、もし今「うつわ」作りから習い始めているという人で、今後も食器関連の作品を作りたいのであれば、一つの目安となる事例をご紹介します。

切立湯呑み

とにかく湯呑みを作らされる教室

これはまだ私が駆け出しの頃の話です。造形をしてみたいという思いは幼少よりあったのですが、それをどういった工程(ノウハウ)を用いて形にするかがまったく察しがつかず苦慮していた時期がありました。

とりあえず電車で片道1時間以内の陶芸教室をピックアップして、パンフレットを送ってもらったり、(今のようにインターネットはなかったので)見学に寄せてもらったりしました。気に入ったところでは体験入学もさせてもらいました。

そんな中で一つの教室ではとにかく1~2年間は湯呑み(切立湯呑)だけを作り続けるというコースがありました。あとになってわかりましたが、訓練校などのカリキュラムをどうも取り入れているようです。

幸いにも半日近いお時間をいただいたので、ひたすら湯呑みを作りました。たしかいきなり電動ロクロによる成型だったと思います。生徒の方々も二年以内の人が多いのか、皆さん湯呑みを制作していました。

「紐づくり」でいえば、いかに粘土を均等に積み上げられるかという練習になります。また電動なら、遠心力や手の使い方によって外へ外へと広がりがちな粘土をいかにコントロールして、「立ち上げ」るかという訓練にもなります。

でもこれって大して面白くないですよね。特に右も左も分からない素人には。もちろんその教室はパスしました。

※成型以外にも「削り」や「薬掛け」、絵付け・焼成等の工程があるので、大量の湯呑みがあれば色々試せるというメリットもあります。基礎からみっちりと学びたい人なら通ってみる価値はありますよ。

ご飯茶碗

茶碗作りは奥が深い!?

本格的に作陶に従事して数年後、造形と並行して茶碗作りに没頭しました。なぜかというと納得のいくお茶碗がいくら作ってもできなかったからです。

大きさ、重さ、形状、フィット感、粘土の選定そして釉薬。技術が向上してくると、かなり薄造りすることが可能になるのですが、薄すぎるとご飯をよそった時に熱くて持てないなんてこともありました。また毎日使うものですから、丈夫さも要求されます。

雰囲気を出そうと意気込んで粘土を選りすぐったり、石を混ぜてみたり(石ハゼ)すると返って逆効果。洗いにくかったり、使用していると水が貫入にしみ込んだり(カビの元)、とても日常生活で用いるのには不適切ともいえるお茶碗を量産しました^^:

仕事始めのルーティンと化していた茶碗作りでしたが、ある日のことふと気づくことがありました。「茶碗作りはすべての器の成形過程を網羅」しているのでは?と思ったのです。

製作途中のお碗

「茶碗はすべてに通ずる」

元々器というものは「器量」という意味合いが転じて、入れ物や容器など道具の名称にも用いられたそうですが、ようは水や食べ物を溜めたり、貯蔵したりするものです。

ある先生に「手で水をすくう形を作ってごらん、それが器だよ」と言われたことがあります。そうです。ちょうどお茶碗のような形になるのです。

それを小さくすればぐい呑みや小鉢の様な形になりますね。大きくすれば、抹茶碗や煮物鉢、どんぶり(ボウル)のようになります。さらに大きくすればサラダボールにもなりえます。

それの延長線でもっと積み上げて今度は口をすぼめていけば、花器や壺のような形になります。全体を小さくすれば徳利になって、首を長くすれば一輪挿しに早変わり…。

成形過程

 

あくまでロクロを用いて、円筒形の作品に限っての話ですが、大きさや、積み上げる土の量(角度)は違えど、基本はすべて同じなわけです。こう言うと少し気が楽になりませんか?

 

お湯呑みの山呉須を用いた湯呑み(磁気土)

積み上げのコツをつかんだら、いざ茶碗作りに!

最初に「湯飲み」を作れと指導してくれる先生が言うのも一理あります。「手びねり」という工程を経験すれば、いかに器が出来上がるのかというプロセスがよく分かります。

積めば積むほど粘土自身の荷重が器(作品)の下部にかかってきます。土台がしっかりしてなかったり、荷重に耐えられる厚みがなければひしゃげてしまいます。せっかく時間をかけて一所懸命に積み上げた努力が水の泡…。

つまりバランス感覚の問題で、これらは回を重ねるごとによって体が覚えていきます。(教室によっては円柱の花器を制作課題とするところもあります。)

電動ロクロにおいてもこの「立ち上げ」を体得しておくとのちのち重宝します。流派にもよりますが、まずまっすぐに立ち上げてそののち側面を倒して碗状にする手法もあるからです。

お碗の側面は曲線を描いています。よく「アール」という言葉を用いますが、「胴」や「腰」と呼ばれている部分のゆるやかなカーブですね。

察しのいい人なら分かったかもしれませんが、まっすぐに積み上げるのではなく「斜め」に積んでいくから難しいというわけです。気品を持たせるためにもアールを美しく形成する必要があります。粘土とよく対話をしながら、重力に耐えうるギリギリのところで積み上げていきましょう。でないと崩れたり、ひょこゆがんだりしてしまいます。

湯飲みでコツをつかんだという人は早々にお茶碗作りに取り掛かってください。二年間もひたすら湯飲み作りをしていても、それこそ進歩はさほど見込めないのではないでしょうか。

壺

抹茶碗には手を出すな!?

お茶碗作りをやってくださいと言いながら、抹茶碗はダメって矛盾してますよね。でもそれだけ“抹茶碗はむつかしい”ってことがいいたいのです。

抹茶碗にはいろいろと決まり事があるほかに、持った際の手の中の座りが要求されます。これが人それぞれ違うからやっかいです。使う人の身になって考えると重すぎると扱いにくいし、軽すぎると重厚感がなくなるケースがあります。また茶道家(流派)のスタイルによっても、形状や用途が千差万別。

もしどうしても抹茶碗にチャレンジしてみたいという人は、最低でも何回か茶会に足を運ぶとか、どこか師範の催す教室に入会して作法を嗜むことをお勧めします。

●表千家 千家の家督を継いだ千家流茶道の本家

●裏千家 分家筋にあたるが、諸流派中最大の流派ともいわれる

●武者小路千家 同じく分家筋、合理的な所作を重視

三択か?と思ったあなた、とんでもない。それぞれに流派がいくつもあり、500を越えるともいわれています。また抹茶碗の種類は私の知ってる限りでも10を超えます。(ことお碗の形状でいったら20種類以上、いや無限大かもしれませんね。)

茶会に赴くにしても行動範囲は限られてきます。そこが何千家でどんな流派かは行って(たずねて)みないことにはわかりません。まさに一期一会。そこで学んだ知識を活かして抹茶碗作りに励んで頂ければ、無駄な寄り道を回避することが可能なのではないでしょうか。でないと家中“漬物入れ”が溢れてしまうようなことになりかねませんからね^^

幸い私の場合はお茶屋さんを介して、茶道教室の先生や生徒さんのご意見を拝聴することができました。練習用とはいえ、それなりの金額でお買い上げいただきました。上達すればお褒めの言葉も頂戴しますし、作品自体の金額も上がります。

中には桐箱を頼まれるケースもあるので、採寸や箱書きの勉強にもなります。「四方掛け」という紐の結び方も下調べしておいて損はありません。

ご飯を盛るのに「お茶碗」?これ如何に(一口コラム)

皆さん疑問に感じたことはないでしょうか?

どうしてお茶を飲むものを「お湯呑み」といって、ご飯をよそうものを「お茶碗」っていうのでしょう。

平安時代に中国からお茶と共にやきものが伝来し、やきもののことを「碗」と称したという謂れが濃厚のようですが、たぶん、ゴロが悪かったから年数を経て変化したんじゃないでしょうかね^^

ちなみに東北以北は「盛る」、東京・関西では「よそう*」と表現します。茶碗にご飯をよそって、ご飯茶碗。コーヒーを入れてコーヒー茶碗…。

日本語って面白いですね。ではまた
*「よそる」と表現する地域もあるそうです。

その習い事、あなたの一生涯の友(ライフワーク)になりえますか?

体験教室

習い事を始めようと思って教室を選ぶときに、必ずといっていいほどつきまとうのが「続くかなあ?」という不安や心配です。人に「あの子、けつを割った」なんて言われることを想像すると二の足を踏んでしまいがちですよね。

でもあれこれと考えていてもらちがあかない(見定めがつかない)ケースは何にしてもよくあるものです。興味を持ったのであれば、とりあえずはちょいカジでも実践してみるのは意義のあることです。それによってあなたの人生を有意義にしてくれるライフワークに巡り合うことができるかもしれないからです。

茶道

習い事を始めるにあたり

教室選びで弊害となるものは数え上げればきりがありません。

  • 先生の教え方が気に入らない
  • 思っていたカリキュラムとちがう
  • うまくなれず面白くない
  • 環境・設備に不満がある
  • 特定の人だけが優遇(えこひいき)されている
  • いじめられている(疎外感がある)

不満要素がたくさん積もれば、習い事自体がいやになることは往々にしてあります。そんな境遇に出くわすと、本当に自分が好きなものを見失ってしまいますよね。

もしその習い事自体にまだ興味があるのであれば、環境を変えれば改善することも十分あり得ます。また、自分には「この教室は合っていない」と判断したときは、すぐさまやめて方向修正してやることも肝要です。そしてご自身が納得して学ぶために、環境や自分の求めているものをよく把握し直して次の選択をする(別の教室へ行く)ことが賢明な選択です。

剣山と花器

数打ちゃ当たる…かも?

こと造形に関してはなかなかピッタリとあなたの希望に合う教室(スクール)にはまず当たりません。絶対数が限られていることと、カリキュラムが漠然とした教室が多いのがその理由です。

「体験入学」などをよく設けている陶芸教室もありますが、1~2時間だけのお遊びではよくわからないのが本当なところです。まあ先生の人柄や、その教室の雰囲気はざっくりとつかめるかとは思いますが…。

あなたが求めているものを提供してくれるスクールかどうかは体験では掴み切れませんが、行かないよりかは行ったほうがいいので、予算的に許すのであればどんどん参加してみましょう。何かしらの発見があるかもしれません。

また大学や専門学校であればオープンキャンパスもあるでしょうし、入学資料等で専門課程の詳細が確認できると思います。

大切なことは「そこで何を習得するのか(できるのか)」をあなた自身が事前に見極めることです。また自分なりに中長期的な計画を立てられる「目標」を設けることができるか、そしてそれを実践するための環境が整っているかまでチェックしておきましょう。それらが整ってさえいれば、将来的なビジョンも明確化してきます。

陶器職人

自分が生み出したいもの(作品)は何?

そしてこれが最も大切な課題です。ひとそれぞれ目標とするものはさまざまなので一概には言えませんが、例えば「将来個展をやってみたい」といった目標がある人ならば、長い時間を費やしてでも追及するテーマとなるものを設定しておく必要があります。

あなたはもう見つかっていますか?寝食を忘れてでも心血を注げるという課題は?これがあるのとないでは大きな違いがあり、入学した時点で大きな差が出てしまいます。また教室選びがぶれてしまうことにもなりかねません。

でもたいていの人がこの点に関してはあいまいなケースが多いのです。茶道や華道を習い始めたという人の中で、「惚れ込んで門下生になった」という人がどれだけいるでしょうか。

浅田真央選手に憧れてフィギュアを始めたという人とか、宝塚歌劇をみて音楽学校への入学を決意したといった人たちと比べると、すでに一歩も二歩も遅れをとっています。

なにもプロになることを想定してるのではありません。「動機」の問題です。「動機」はきっかけの一つにすぎませんが、心動かされたということに関しては、これに勝るアクション・トリガー(引き金)は他にはありません。

心魅了された人にはもはや“夢”という「大きなひとつの目標」が手中にあるからです。

ロック・コンサートの演奏に衝撃を受けてギターを始めたという人にも同様なことがいえるかもしれませんね。あなたがもつ「目標」が正しい教室選びのひとつの指針(進むべき方向性)ともなりえます。

床の間の花器

目標を見つけるお手伝いをします

当ゼミは単に粘土を用いて作品を制作するという講座ではありません。あなたのライフワークを見つけるための造形ゼミです。

そして、どの道を進むのが適切かを個々に見定めてもらうための講習です。いわばファーストステップへの大事な準備段階のためのゼミです。

ですから必ずしも焼成を行うわけではありません。作ることに重きを置いてはいないからです。創作時間よりもレクチャーのほうが長くなる日もあるかもしれません。ゼミ以外の時間には自問自答する時間が必要になることもあるでしょう。

それもこれも皆あなたのライフワークを見定めるのに必要不可欠な行程です。生涯を通じて、あなたが「出会えて幸せだった」「選んで正解だった」という習い事を当ゼミで見つけることを心より応援したいと思っています。

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焼き物の高台のあるなし その必要性と用途など

高台

器を買うときのひとつの選択肢になるものに高台(こうだい)があります。ショップを訪問するとよく「お手にとってご覧ください。」と言われたことがあるかとおもいますが、老舗陶磁器やさんなどでは高台について説明をしてくれますよね。

人間でいうと足に相当するものが高台なのですが、なかにはないものもあります「碁笥(ごけ)底」。種類や高さもさまざま、高台についての予備知識を解説しますので用途や必要性に応じて購入時の目安となさってください。

必ずなくてはならない抹茶碗の高台

もっともよく見かけるのがお茶碗の高台です。抹茶碗の場合は美観的な要素が多分にありますが、高台の良し悪しで作品の気品さえも影響を及ぼすパーツです。

抹茶碗

茶道をたしなんだことがある人なら良くご存知だとおもいますが、一服したあとはお茶碗を拝見する作法があります。私の場合祖母が茶道を嗜んでいて、子供の時によくお稽古をさせられました。飲み干したあとは口縁(飲んだところ)を拭いて、茶碗を眺めるのですが、裏返して高台(や高台脇)、できれば名(サイン)なども拝見したものです。

そのあとは次の人にその茶碗を渡します。ようするにひとつの茶碗で飲みまわしするんですが、潔癖症の人には無理かもしれませんね^^:
このとき高台がひとつの役割を果たしてくれます。賢明な方はもうわかったかもしれません。そうです。指をそわせやすく持ちやすいんです。

ご飯茶碗なども同じことが言え、高台がなければ持ちにくかったり、持ち上げてから持ち直す手間がかかるでしょう。高台は持ち上げやすく設計された必要不可欠ないわばテクニカルデザインでもあるのです。

高台はがたつきを抑えるための足でもある

テーブルとの接触面を畳付きなどとよぶことがあります。茶会などに多いようです。料理好きの人なら「糸尻(糸底)」なんてよぶ人もおられます。

のちのち分かったことですが、ロクロで陶器を作るときに糸(しっぴき)で切り離すのですが、この糸の跡を残す場合があるので糸尻と呼ぶようになったもようです。

糸尻で包丁を研いだら、砥石にかけたようによく切れるようになりますが、ぜったいにしないでくださいね。危険ですし、高台がかけたりしたらがたついてしまうかもしれません。

ぐいのみ

高台には大きくわけると3種類あり、削りだしたものと付け足したもの(付け高台)そして型を用いて成型したものがあります。

いずれも器の安定に一役買ってくれます。さまざまなタイプがありますが、もっともオーソドックなものは撥(ばち)高台とよばれているもので、サークル状の突起になったものです。接触面が最小限に抑えられていて日常生活において非常に便利な構造になっています。

切り高台のうそ、ほんと

萩焼などでよく見かける切り高台ですが、お殿様が使うものではなく、庶民が使うものとしてキズをいれたという説がありますが、いささか強引な印象すら受けます。

その他にも諸説あって窯焼きの際に内側まで炎が通りやすくするためとか、机に(水分等の影響で)くっつくのを予防するため、紐にしばって運ぶ際に紐が引っかかりやすいように、などなど当時の作り手(使い手)の知恵によるものと考えたほうがしっくりこないでしょうか。

どこか不完全なものを慈しむ情緒のようなものも感じますよね。

切り高台

釉薬掛けの際には便利な高台

陶芸教室などにいって、薬掛け(施釉)までされた人なら経験があるかもかもしれません。焼成前に釉薬という「うわぐすり」を掛けるのですが、高台があるとそこをつまんで薬を掛けることができるのでひじょうに重宝します。

もし高台がなければ作品の胴回りや口元を持って薬をかけなければいけません。または釉掛けハサミとよばれるものを使用します。

薬によっては手の跡がくっきり残ってしまいます(それがいい景色になることもあるんですが・・・)。ただ手は汚れますしね。工房は屋外や半屋内が多いから、冬の工房で手を洗う職人さんにはけっこうシビアな環境下での作業ともいえます。

ご飯茶碗の高台

近年では施釉の際に、ラテックスや撥水剤というのを使用することが多いようです。塗布した部分だけ釉薬がはじかれるというすぐれものです。昔は手作業で糸尻や底辺部分についた釉薬をひとつひとつ取り除いていました。

ラテックスや撥水剤は装飾に用いられることもありますが、焼成時に窯の中の棚(板)に作品の底辺が溶着しないようにするために、釉薬の除去の工程を省略してくれる便利なものです。(釉薬が熱で溶けてガラス化し、棚板とくっつくため)

面積はすくなければ少ないほど作業は効率化します。そういった意味でも平らな(碁笥底)よりも高台の糸尻があったほうがいいわけです。

お店で商品を手にとって見たときによく観察してください。作品全体に釉薬がかかっていて、糸尻部分だけ無釉のものと、高台脇までしか薬がかかっていないもの(下部が全く無釉:土見せ)にでくわすことがあるかもしれません。

目土を用いた焼成

陶芸作品(主に器)の中には作品全部に釉薬がかかっているものもあります。ここで疑問がわきませんでしょうか?そうです、棚板にくっつくはずです(もしくは重ねて焼いた場合作品同士が)。

これは「目土」とよばれる荒めの土(砂)を作品の底に3つ目立てして焼き上げる技法のひとつを用いています。お茶碗の内側(見込み)に三ヶ所、まあるい色の違った部分がある作品を見られたことはなかったでしょうか?これは目土を用いて作品を重ね焼きした作品であることを指します。

地域や作家さんによっては貝殻を用いて焼成する場合もあります。素地(施釉していない部分)に貝殻を用いてる焼いている場合もありますが、これはその土地の土の成分等の関係で、焼成時に溶着しやすいのを予防する働きがあります。

近年ではアルミナ(粉)を塗って防止したり、シートを敷いて焼成する作家さんもおられます。

先人の知恵「トチ」

「トチ」という道具を用いる場合もあります。針が三本出ている道具で、その上に作品を乗せて焼成します。焼きあがり後は三ヶ所小さな穴が開いていて目立ちません。

トチ

手作りで作る人もいますが、比較的安価でいろんなサイズが販売されています。ただバランスがとても大切で、大きさを間違えると焼成時に倒れてしまうリスクもあります。また作品によってはゆがみを生む結果にもなるので、経験が必要な道具ともいえます。流れやすい釉薬による棚板との固着予防にも一役買ってくれます。

ペンダントトップなどのアクセサリーで作品全部に施釉したいときなどに便利かもしれませんね。

 

タタキ皿

じゃまな高台 ケースBYケース

ここまで書くと「高台」って大切なものなんだなあって思うかもしれませんが、実際はあるとじゃまなケースもあります。

壷や一輪挿しなどの花器などでは高台があると美観を損ねる場合があります。お皿や茶碗などで凹凸があるために洗うのが面倒だったり、洗った後に伏せていると水が溜まったりして困ったケースはないでしょうか。

お料理をいただくときに手に持つ器とそうでない器がありますよね。手にもつ器にはあると大変便利ですが、そうでないものにはなくても困るものではありません。コーヒーカップは取っ手がありますし、お湯のみや徳利は同体を掴みます。美観を損ねないのであれば無くてもことたりますので、あとはあなたのお好み次第。

機能性も兼ね備えていてあると便利な高台ですが、用途に応じて適切なものを選択することが望ましいと言えます。

型作りの器

-お手入れ- 高台の黒ずみはなに?

長年使用していると、高台が黒ずんでくる場合があります。もちろん汚れもありますが、うわ薬がかかっていないため「カビ」が繁殖しているケースがよくあります。磁器土を用いた京焼や九谷焼きなどはキメの細かい土なので、よく食器洗剤で洗ってやるか、場合によってはハイターなどの漂白剤を用いることで、黄ばみや黒ずみが落ちるケースがあります。

残念なことですが、素地のあらい陶器に関しては取り除くことはまず不可能です。もう一度焼成をしなおさなければ取れません。洗い物がすんだら出来るだけ速やかに水分を取り除き、よく乾燥させてから食器棚にしまうようにしましょう。くれぐれも電子レンジで乾かすなどということはしないでくださいね。

ではまた。

 

 

陶芸家を目指す人が知っておきたい3つのこと

電動ろくろ

粘土の創作活動や、造形にたずさわったことのある人であれば一度は夢見るのが「陶芸家」ですよね。最近ではNHKの連続テレビ小説「スカーレット」で主人公喜美子が窯元に就職したのをきっかけに女性陶芸家を志すドラマを観て、憧れを抱いている人も少なからずいるのではないでしょうか。

でも、「陶芸家」って何をする人でしょう?「器を作る人」、「ロクロを挽く人」…確かにまちがいではありません。でもそれだけのイメージで憧れたり、まして職業として選択するのはかなりリスキーです。

あなたがもし陶芸家を目指そうというのであれば、ぜひふまえておいてほしい3つのポイントがあるのでご紹介します。

「陶芸家」という名の誤解

陶土・磁器土を用いて陶磁器を作る人を「焼き物師」や「陶工」といいますが、一会社員として器の製造を職業とする方々をさします。陶芸といえば誰しもがよくイメージする「ロクロ」は、そのうちの成形に長けた職人のうちの「轆轤師」のお仕事です。一日ロクロに向かい同じものを何十、何百と挽かなければいけません。

本来陶磁器業は分業制です。「型師」「絵付師」「デザイン(図案)」のほか、焼成担当、釉薬担当、納品や梱包する人もいますし、営業・販売活動に回る人、イベントなどの企画・広報活動をする人もいます。もちろん会社ですから事務や経理も必要です。会社によっては一人で何役もこなさないといけないところもあるでしょうし、完全に分業化された大きな窯元もあります。

「陶芸家になりたい」と思って陶磁器製造会社に就職しても、その人の能力や努力、得手不得手によって必ずしも成形や絵付けの仕事にありつけるかはわかりません。

かたや「陶芸家」というのは職業ではありません。陶磁器業を長年経験して道を極めた人が独立などを果たして、すべての工程を自分の工房で行ういわば芸術活動に従事している人のことを主に指します。(窯元の経営者の肩書きになっている場合もあります)

近年では大学などで「陶芸科コース」などが設けられて、卒業と共に自分のアトリエを造り、陶芸家デビューを果たす人も増えているようですが、成功する人はごく一握り。人気が出て作品が高値で取引されるようになるまでは相当な時間と労力が必要になります。それまでは極貧生活を強いられるケースも往々にしてある険しい道のりです。

伝統工芸?それとも芸術?

陶芸に関しては境界線が分かりにくい面がありますが、窯元のコンセプトや窯元が継承してきた伝統に基づいて「道具」を製造する焼物師が「陶工」。オリジナル性を追求し芸術性のある作陶を自身でプロデュースしていくのが「陶芸家」と考えれば分かりやすいかもしれません。

よく「人間国宝」という言葉を耳にすると思いますが、文化財保護法に基づいて文部科学大臣が指定した重要無形文化財の保持者として認定された人の通称です。陶芸家にも人間国宝はおられます(工芸技術部門)。芸術性(または歴史的)価値の高いものを生産し、さらに高度な技術を体得かつ精通している人物であるということが選定基準になります。

これから鑑みても人間国宝になる陶芸家は文化・芸術に寄与した人物であることが良く分かります。ただ、能楽や歌舞伎・文楽に人間国宝がいるのと同様、伝統工芸としての「技」を体得していることも重要な要因です。伝統的工芸品産業振興協会が認定する「伝統工芸士」を目指して日々研鑽を重ねる作陶家が多いのもまた事実です。

ちなみに人間国宝に音楽(尺八・こと等)はあっても、絵画のジャンルはありません。芸術を重んじつつも「伝統工芸」である陶芸は、職業として選択するには非常にファジィな位置づけともいえ、志す人を悩ますかもしれません。

学校に通う?陶芸教室に行く?

大学や専門学校を利用する

あなたはどうやって作陶の技術を学ぼうと思っているのでしょうか。大学の陶芸科を受験しようと思っていますか。それもけっして悪い選択ではありません。時間をかけて学んだ知識はきっとあなたの血となり肉となります。切磋琢磨し合える仲間もきっと見つかります。ようは卒業してからどの道に進むかの選択を期間内に見極めることが肝要です。

学生時代にすでに実績を十分に挙げて、人気を得て(ファンを獲得して)いれば卒業後にすぐ事業を立ち上げることも可能です。しかしそれはごく限られた者のみが成せることです。大半の人は製陶会社かまたは全く別のジャンルの企業の面接を受けることになります。いずれにせよ大学で学んだことはさほど役に立たないことを想定していて損はありません。

時間をかけている余裕もない、費用も限られているという人は職業訓練校という手段もあります。かなりリーズナブルな費用で1~2年間専門的な指導を受けられます。製陶会社や窯元に就職しようと意志を固めているのなら、まよわず受講することをお薦めします。各窯業地で骨を埋める覚悟をもって挑みましょう。地域によってはハローワークで斡旋してくれるところもあります。

陶芸教室に通う

陶芸のカルチャー教室にでも通って、将来的に「陶芸家」として独立して個展などをしてみたいと思っている方。残念ですがあなたが作陶を職業にすることはかなりハードルが高いといわざるをえません。町でよくあるカルチャースクールで専門知識を得て、職業として成立する技術を習得することはまず不可能だからです。

物理的にどうしてもその方法しか選択肢がないのであれば、陶芸作家として生計を立てている先生を探し、ノウハウを伝授してもらえるかを下調べしましょう。できれば陶磁器の産地のスクールが望ましいです。お住まいの近くが焼き物の産地でなければ引越しも視野に入れておきましょう。まずそこに住むための資金調達や引越し準備(住まい探し)を早急にはじめる必要があります。授業費用も馬鹿には出来ませんから、引越し先で仕事も見つけなければいけません。

職業に結びつくかはあなた次第。寝る間も惜しんで修練に励み、そして先生から技術だけでなく、接客・経営に関することまですべて吸収してください。出来るだけ短期間で習得するのが望ましいでしょう。アルバイトをしながら昼夜限らず勉強することはそう何年も続けられることではないからです。

作業として習得すること
練り・成形(削り)・絵付け・装飾やその他の成形技術・焼成工程・釉薬の調合・粘土の製造/管理

 

そのほかには、経営に関するノウハウ習得や人脈作りなども大切です。個人事業主となるわけですから、商工会の会員になることもありますし、税務署で確定申告も行わなければいけません。個展をして販売をするためにはギャラリーのオーナーと密な関係を築いておくことも必要になります。

それだけではありません。作品作りのインスピレーションを得るためにさまざまな芸術や文化活動に触れ、感性を磨いておく努力も必要です。関連書籍もたっぷり読みましょう。

最低限たしなんでおくに越したことがないジャンルを明記しておきます。あくまで一例ですので参考にしてください。

知識として習得したいこと(一例)
書道・茶道・華道(生け花)・お料理・お酒・植物 そしてラッピングや桐箱の知識

 

上記習得と平行して、アトリエ・窯場用土地探し、販売店・委託店探しも積極的に行わなければいけません。アトリエ(工房)建設のための費用捻出も大きな課題となるので視野に入れておきましょう。

最後に

製陶会社に勤められる夢が叶ったとしても、お給料は決して高給とはいえません。同世代の平均賃金と比べると十中八九安いでしょう。自分で開業するのであれば尚更です。

常に未来のビジョンを見据えて、設定した目標をクリアしていく計画性と揺らぐことのない熱意を持ち続ける確固たる信念がある人ならばチャレンジしてみることをおすすめします。

※習い事から「やってみたい」という人はこちらの記事も参考に

※当アカデミーでは決して「陶芸家になるための指導」を行っているものではありません。あくまであなたがライフワークとして生涯において生きがいを見出せるフィールドを探すためのお手伝いをさせていただいています。もし見つかればそれは一生において宝物になるはずです。

造形ゼミ募集内容

習い事教室に通うのがいやになった人へ

粘土をこねる

料理の技術を習得しようと思えば、レシピを見るのが最も最短の上達方法です。ネットでいろいろ検索できますね。駅前には料理教室もたくさんあります。完成後の食事会など楽しいこと請け合いで趣味としては最高です。

では陶芸や粘土造形はどうでしょう?

楽しくない陶芸教室

陶芸教室に通えば一通りのことは先生が教えてくれます。でも中には「何年通ってもうまくならない…」「技術は色々勉強したけど良い作品はできなくて面白くない…」といったケースも往々にしてあるようです。

悲しいかなこれらは実際に通ってみて数年経ってから感じることです。「自分には才能がないのかもしれない…」「仲のいい友達が出来たので惰性で通ってる…」という人も少なからずいるのが現実ではないでしょうか。

でもこれでは生涯の趣味「ライフワーク」としての体を成せるはずはありません。造形を美術的な観点から見ると、生まれつきの才能があるに越したことはありませんが、しかしそれだけで成り立つものでもないのも確かです。では何が必要なんでしょうか?

粘土を持つ手

素敵な作品を作れる人とそうでない人の差って?

答えはしごく簡単です。料理で例えましょう。

いくら高級な割烹料理やフレンチが作れるようになっても、自分が食べて美味しいと納得できなければ満足感は得られません。舌が肥えていて、味覚に敏感な才能があったとしても無用の長物にしかならないケースだってあります。

手をかけて技術を駆使しても人がおいしいと言ってくれるとは限りません。徒労に終わるだけで、次に献立を作るのが億劫になるだけです。楽しくなるはずはなくライフワークの候補からは遠ざかる一方です。

料理

ライフワークに成りえるための3か条(料理の場合)
・美味しい料理を作れること
・食べてみて自分が満足できること
・そして、それを食べさせて人を喜ばせられること

 

あなたがもし今陶芸教室に通っているなら、素敵な作品を上手に作っている人の真似をするのではなく、その人の「作品作りへのスタンス」をよく観察しましょう。その人はきっと誰よりも自分自身が楽しんで作品作りに熱中しているはずです。

そして自分が生み出したいものが何なのか、自分が一心不乱になれるものは何かを自問自答するところからはじめてみましょう。「あんな作品が作りたい」だけでは単なる物真似に過ぎませんし、仮にうまく出来たとしてもあなたの欲求を満足させるのに十分とはいえません。

なぜなら次の作品も、その次の作品も、さらにその次も…同じ工程を踏む負のスパイラルがあなたを待ち構えているからです。

陶芸作品

だれよりも自分が楽しむ!そしてライフワークへ

私自身陶芸教室の生徒でありながら、作陶の講師、製作者の三束のわらじを10数年行ってきました。正直つまらないと感じたこともたびたびありました。

それでもモチベーションを維持し続けたのは、作業や授業の合間に、自分自身が楽しめる(創作意欲のわく)作品のアイデアが色々とあったからです。

時間が経つのも忘れて没頭し、よく朝を迎えるという事もままありました。また土の種類を変えたり、薬を少し変えただけで千変万化する焼成(窯焚き)。裏切られることは数知れないほどありますが、その中からひょんな掘り出し物が見つかるといった喜びもありました。

何ものにも変えがたい楽しみがそこにあったからこそライフワークとして成し得たわけです。

電動ろくろ

先生によって変わる「修業」

あなたは教室で授業の内容に戸惑ったようなことはなかったでしょうか?

こと習い事にはさまざまな「誤解」がつきものです。お華にしても茶道にしてもそれはあります。先生に叱責されたときなどは、理不尽さを感じることもあるでしょう。それは教える側の歩んできた環境によって指導方法が大きく左右されることが主な要因です。

料理でも同じことがいえます。板前を目指そうと料亭に就職すれば、まずは「洗い物」と「掃除」からではないでしょうか。そして盛り付けを経て、焼き場を任させられるまでに数年を要します。

さらに数年精進を積まなくてはいけませんが、板場に立てるか否かは確約されていません。いわゆる「修業」です。それは道を極めるためにとても大切なことですが、人生の大半を費やす必要があります。

そのような研鑽を積んできた人が先生なら、まずはみっちりと基本から教えてくれます。そして一人前になるには何年も要します。でも生徒の中にはきっとこう言う人も少なからずいるでしょう。

「わたし、プロになるわけじゃないし…」

「〇〇教室」とうたっているカルチャーでは、教える側が提供するものと、学ぶ側が求めるものによって齟齬が生まれがちです。きびしい指導を「ありがたい」ととらえる人と、そうでない人。後者の場合は「楽しくない」と感じていずれ退会していきます。

あくまでも趣味の一環として指導する先生の元では「面白かった、また来週が楽しみ」と思う人が多いでしょうけど、ハイレベルな指導を臨んで入会した人は物足りなさを感じるかもしれませんね。プロを目指している人ならなおさらです。さて、あなたはどちらを選択したいのでしょうか。

 

作品の猫に絵付け

造形ゼミでは…

当アカデミーでは個人の目的に合わせてバランスよく両者を実践していただく予定にしています。ですので少人数制(マンツーマン)をしいています。

基礎的なものを学んでいただくのと平行して、自分のスタイルを見極めてもらわなければいけません。あなたがライフワークとして生涯楽しむことの出来るフィールドを確立することが最重要課題です。

人によってはご自宅での予習復習や創作活動も必要になりますし、教室の運営を考えているのであればノウハウの習得や指導員としての修行がゼミ以外においても必要となってきます。

いずれにせよ、まずはご自身が心血を注げられるものが見つけられるかどうかをこのゼミで見極めてみてください。あなたのご応募をお待ち申し上げます。

講師紹介

※募集定員になり次第締め切ります。
退会者が出た時点で次の応募を再開します。
詳しくはお問合せください。

陶芸をする女性

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